装丁見聞録 月のリズム

title.png

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

 Powerd by 日本図書設計家協会 The Society of Publishing Arts
HOME > 装丁見聞録 > 装丁見聞録 月のリズム

見聞録ロゴヨコ.psd

來夢 著
『月のリズム』(きずな出版)

装丁・本文デザイン:福田和雄


IMG_3982.jpg

装丁にとって紙は重要な要素。
同じ図柄でも紙によって印象は全く異なることも。
それゆえ装丁家は、紙選びには気を使います。
この本にピッタリの紙はどれか…
と用紙見本とにらめっこするのです。

それでも、この『月のリズム』ほど、本と用紙がピッタリくることはないでしょう。

かぐや姫の導き?

これは、月の満ち欠けのリズムをもとにした占いの本です。
オビには
あなたが、あなたらしく、
あるがまま、人生を選択する、
そのヒントになりますように――。
かぐや姫から届いたメッセージ」
とあります。

カバーとオビの用紙は、その名も「かぐや」。
クレーターのようなエンボスが特徴のファンシーペーパーです。
まるでこの本のために作られたかのようなベストマッチ感ですね。

IMG_3982.jpg

装丁と本文デザインは福田和雄さん。
ビジネスから実用、人文書などさまざまな装丁を手がけています。

福田さんに話を聞きました。

昨年の6月に紙屋さんから、新製品の紹介として『かぐや』のミニサンプルをいただきました。
そのときは、月の本の仕事でも来たら使いますよ、と言ったものの
そんな依頼があるとも思えず、頭の片隅にそっとしまっておきました」

当然ですが、用紙の方が先だったわけですね。
かなり特徴のある用紙なので、そうすぐに合う案件はないでしょうが…

「それから3ヶ月ほどたったころ
『きれいな本にしたいんです』と、この本の依頼があったのです。
まさに、そういえば! と、『かぐや』を思い出しました。
そして出版社に提案したところ、すぐにサンプルを取り寄せて見てくださって感激し、
ぜひこれで! となりました」

あったんですね、ピッタリの本が。
月のリズムがシンクロしたのか?
はたまた、かぐや姫に導かれたのか?
この本、読みたくなりますね。

こちらが、「かぐや」のサンプルです。

IMG_3990.jpg

月の表面の凹凸感を紙の表面に表現したファンシーペーパーで
全10色の色名もその色から連想される月の名前を当てはめています。
「新月」「三日月」「上弦」「十三夜」「満月」
「いざよい」「たちまち」「ねまち」「下弦」「有明」
なんだかいいですね。

2C? 3C!

そしてもちろん、装丁は用紙を選んだら終わりじゃありません。
福田さんは「キレイな本に」という依頼に応えていきます。

カバーは「かぐや」の白い「満月」、オビはクリーム色の「十三夜」が使われています。
クレーターを生かすべく余白の多いカバーデザインですね。
色使いもスミとイエローだけというシンプルさ。
ちなみに三日月部分のイエローと、右の欧文に使われているイエローは別の色。
2色のように見えて、実は3色なんです。
さすが芸が細かい…

三日月とタイトルにはUV厚盛り加工が施され、マットな「かぐや」と絶妙なコントラスト。
地紋のようにさりげなく、イエローのチリ状のモチーフが刷り込まれています。
スターダストのようで遠近感を感じさせますね。

ピクチャ 5.jpg

本文デザインもぬかりなし。

IMG_3987.jpgIMG_3984.jpg

章扉にはカバーと同様にスターダストが。(右)

IMG_3983.jpgIMG_3986.jpg

目次のデザインもいいリズム。(左)
ハシラの位置が絶妙ですね。(右)

福田さんは、
「この先、この本以上に『かぐや』がハマる書籍の
依頼もなかなかないんじゃないでしょうか?
今回はカバーと帯に使用しましたが、今後、宇宙関連の本とかあれば
表紙、見返し、別丁扉などに隠し味として使ってみたいです」
と言います。

今回は「キレイな本」というリクエストに応えた福田さん。
ふだんはあまり多くを語らず、どんな本でも必要十分な装丁で
確実に読者の元に送り届けるところは、まるで職人のようです。
そんな装丁マエストロの装丁を、ぜひ実物を手に取って確かめてください!


[仕様]

●四六判並製 208頁

■カバー:かぐや/満月

■オ ビ:かぐや/十三夜

■表 紙:気包紙U/ディープラフ

■見返し:NTラシャ/うすクリーム

■別丁扉:ポルカレイド/カカオ

ページトップへ